あれとアレは混ぜるな危険

日々精進をしているふり

Windows Azure入門 書評

はるたまです。最近そばばかり食べてるはるたまです。
日本で初めてのWindows Azureに関する解説本が出ましたね。

Microsoftのクラウドコンピューティング Windows Azure入門

Microsoftのクラウドコンピューティング Windows Azure入門


うちに届いたのは発売日の2日前でした。Amazonさん、ありがとう。
今日、本屋さんに行ったら結構平積みされていました。さすがに注目度高いですね。

おことわり

まず先にお断りしておきますが「この本を読めばWindows Azureのアプリケーションが組めるようになる」という位置づけの本ではないということをお断りしておきたいと思います。確かに、コーディングに関する解説もありますが、情報がちょっと古いです。PDC09で発表された機能に関しては触れていない(原稿の関係で触れられなかったというのが正確なところ)ので、コードの部分に関してはPDC09のサイトで英語のストリームを見るしかないのが正直なところです。
ただし、全く価値がないかというとそういうわけでもなく、開発の流れを知るという意味では日本語で読める数少ない文献ですので、Windows Azureの入口としてはおすすめです。

本書の対象

それでは、個人的に本書に「フィットする読者層はこれだ!」というところを考えてみます。SEやってるので、対象の人がやたら具体的すぎますが、まあそれはそれということで。

プロジェクトマネージャーや製品企画をする人。
  • クラウドって安くできるんでしょ?
  • 今のアプリケーションをクラウドに載せればスケールアウトするんでしょ?

とか考えている人には1章と2章を読むことをお勧めします。ソフトウエアのフリーランチは終わりました。
つまり、今まではボケーっと待ってるだけで勝手にCPUが速くなってくれましたが、今の時代はマルチコア化の流れと、クラウドのようなスケールアウトの流れが同時に進行しています。こんな時代にソフトウエアはどのような設計を行うべきかというヒントをWindows Azureに限った話ではないレベルで得られるかもしれません。

「クラウドって何?」と思っている営業担当の人

おそらく最近、営業をやられている方なら「クラウドってどうよ?」みたいな話をお客さんからされる機会があると思います。そのときに「各クラウドベンダーの考え方や立ち位置を理解しておきたい!」と考えている方。あなたにお勧めです。
Windows Azure 入門」というタイトルがついていますが、他のクラウドベンダーとの違いに関する説明や、Windows Azureでできることが一通り網羅されていますので、これを一冊読めばクラウドベンダー全体から見たWindows Azureの立ち位置が分かるかと思います。

さいごに

本書はWindows Azureだけを取り上げた内容ではないということは強く言っておきたいと思います。クラウドベンダーとしてのMicrosoftを説明するために、AmazonやGoogleに関して比較している部分が本書のハイライトだと思っています。
だからといって「Windows Azure最高!」という内容でもありません。根本的にAmazonもGoogleもMicrosoftも考え方も立ち位置も異なるために、どれが一番という議論は成り立ちません。一番を決めるのは、本書を読む方が何をしたいかによって決まりますし、一番は自身で決めなければなりません。クラウドの世界の中で、Microsoftの考えるクラウドというものが何なのかを理解したい方にはおすすめしたい1冊かと思います。